先日の大寄せのお茶会でのひとこま。

小学生くらいの女の子がお母様らしき女性に、煙草盆について質問されておられました。

「あれ何?あの棒、あれ何?」

「あれは昔のたばこよ。」

「誰が吸うの?」

「誰も吸わない。飾りよ。」

…喉元まで言葉が出かかりましたが、席中でしたし、面識のない私から色々と言われるのはお母様も本意ではないでしょうと思い、そのままにしておりましたが、煙草盆は茶道具のひとつですが、あれ、吸いたければ、吸えます(笑)

ただ今まで実際に席中で吸われた方はお見かけしたことはないですし、そもそも「一服されてくださいね」という、お楽にどうぞの「気持ち」の現れが「煙草盆」なので使わないことの方が多いです。

今回は、茶道具のひとつ煙草盆」について、各アイテムの名前と見どころをご紹介します!

 

煙草盆は茶道具!主に5つのアイテムで構成されています!

  1. 煙草盆
  2. 火入れ
  3. 灰吹はいふき
  4. 煙草入
  5. 煙管きせる

煙草盆は主に上記5つのアイテムで構成されています。

元々「香盆こうぼん」を見立てたものが「煙草盆」となりました。

香炉は火入、炷殻しゅから入が灰吹、香合が煙草入、そして煙管が二本なのは、香箸に見立てたからとも言われています。

さて茶道の所作で、手付煙草盆は取手がついていますが「取手部分は持ちません」。

下の箱の部分の両側を両手で挟むようにして大切に持ち、お席に運び入れます。

煙草盆は使わなくても見どころ満載!

煙草盆

手付煙草盆です。取手部分のない手無煙草盆もあります。

また形は、長方形や正方形、丸型、小判型のものもありますし、サイドに透かし模様のはいっているものや歴代の家元のお好みの形、という決まりもあったりします。

箱部分に敷き紙がしてありますが、流派によっては敷かなかったり、次に紹介する火入れの下にだけ敷く流派もあります。

敷き紙の材は「奉書紙ほうしょし」と言って、水引がついてるクラスの「のし袋」のあの紙です。

火入れ

煙草にをつけるためのものです。

真ん中にあるのが切炭きりずみで、左右に傾けてすえてあります。

これは流派によって傾ける方向が違います。

灰には火箸や灰おさえという道具で一筋一筋、放射線状に線がつけてありますが、これも流派や火入れにより違います。

火入れの準備は次のような感じです。

  1. まず本番の炭をすえる前に「灰を温めるために」あらかじめ火のついた炭を入れておきます。
  2. 灰が温まったらその炭を取り出します。
  3. 温まった灰を火箸でかきあげてお山にします。
  4. 火箸や灰ならしで軽くお山の形を整えます。
  5. 本番用の炭の片側一部に火をつけます(全部真っ赤に火をつけてしまうとお客様の煙管の煙草が一気に燃えてしまうため)。
  6. 火のついた部分を下、火のついていない黒い部分を上という傾いた状態で、お山の真ん中に炭を押さえてすえます。
  7. 火箸や灰ならしの取手の部分を使い、一筋一筋、炭のぐるりに放射線状にきれいな溝状の線をつけていきます。
  8. 出来上がったら形を崩さないよう煙草盆に火入れを仕組みます。

火入れは何気なぁく置かれていますが、このようにこの形にするまでに結構な手間がかかっているんですよ~!

灰吹

灰吹は煙管で吸い終わった煙草の吸い殻をここにポン!といれるためのものです。

吸い殻に火がついてることがあるので、下1cmくらいまで水が入れてあります。

流派によって青竹の場合もあります。

煙草入

開けるときざみタバコが入っています。

陶器でできた蓋付きの煙草入や、木や紙でできた蓋付きの煙草入の場合もあります。

煙管

煙管は、二本の時は、煙草盆の縁にかけるような形で置きます。

二本は、香箸に見立てたから、とも言われていますし、1本はお正客様がお吸いになり、もう1本は次客が吸うためのもの、とも言われています。

ちなみに煙管が1本の時は煙草盆の中に雁首がんくびを下に、吸い口を外に見せるように落とし込んで仕組みます。

煙草盆は利休の時代にはなかった?

煙草盆は、薄茶の時にはお稽古でも必ず持ち出されます。

濃茶席と懐石中には出しませんが、お茶事においても、寄付や腰掛、薄茶が始まる前には持ち出されます。

また大寄せの茶会では、最初からお正客様のお席の前に置かれますし、なくてはならない茶道具のひとつです。

ところが、煙草盆は、利休さんの時代にはお茶席では使われてはいなかったようです。

もちろん、煙草盆自体はありましたが、茶道のお道具のひとつとしてはみなされておらず、江戸時代に入ってから、お家元のお好みの物の煙草盆が登場し、江戸時代の後期になるころから、茶事の道具として一般的になったと言われています。

まとめ

今回は、茶道具のひとつ「煙草盆」は奥深くて見どころ満載!利休の時代にはなかったって本当?と題して、

煙草盆は5つのメインアイテムで構成されていますよ。

煙草盆はお客様に「お楽にお過ごしくださいね。」の気持ちの表れである、けど、実際に吸おうと思えば吸えますよ、の心意気で準備は整えてあるんですよ。

いまやなくてはならない茶道具のひとつである煙草盆だけど、千利休さんの時代には茶道具扱いではなかったんですよ…

というお話しをさせていただきました。

今回も、最後までお読みいただき、有難うございました!