「お茶会」には大きく分けて3種類あります。
「大寄せの茶会」と呼ばれる20~30人が一度に同席するもの。
「(少人数の)茶会」正客、次客、三客(お詰め)のように2~3人程度をもてなすもの。
「茶事」と呼ばれる途中食事(懐石)が出る正式なもの。
初めて招かれるのに、正式な「茶事」は考えにくいので、今回は「大寄せの茶会」に焦点を当て、着物を来ていかない場合、どのような服装で行けばいいのか、何を持参すれば良いのかについて。
また大寄せのお茶会の大まかな流れと作法についてもポイントをご紹介します!
お茶会へは着物でなくても大丈夫?どんな服装で行けばいいの?
着物を着ないからといって、フォーマルな席であることには違いありませんので、あまりカジュアルな服装は控えます。
男性なら無地のスーツに無地の白いワイシャツ。ネクタイも柄の目立たないものを選びます。靴下は黒か紺です。(※男女問わず「靴下は白!」という声もありますが、男性に限り、黒紺であれば、あまり、厳しくは言われない、というのが実情のようです。)
女性は、「膝が隠れる丈のフレアスカート」がオススメです。ミニスカートはもってのほかですが、タイトスカートも正座した時、ミニスカートと同じように膝が丸見えになるのでおすすめしません。
ロングスカートは正座するとき意外に膨らむのでこれもあまりオススメではありません。
ブラウスやシャツは「襟の詰まったもの」を選びます。
これはお辞儀をした時、開襟のものは胸元がのぞくことがあるからです。
それからできるだけ「ジャケット」を着用しましょう。
カーディガンでも良いのですが、あまりフェミニンなものだとやはり場違いな感じがします。
また、ジャケットならポケットがついているものが多いので、懐紙や扇子などを入れておくことも出来ます。
ストッキングは肌色に近い無地のものが良く、必ず「白い靴下」を上から履いておきます。
元々は白足袋を着用する場面ですので必ず「白靴下」は着用するようにしてくださいね。
お茶会NG集
大切なお茶碗などお道具に傷をつけてはならないので、男女問わず、お茶席では、時計やアクセサリーなど貴金属はできるだけなさらないほうが良いと思います。
また、香水は、「香」(炭の近くでたかれてあります)の妨げとなりますので、お控えいただいた方が良いと思います。
口紅はお化粧の顔色にも響くので、あまり厳しく言いたくはないのですが、あまりしっかり塗ってこられると、しっかり抹茶碗にも残ってしまいますので、できるだけ、薄~く塗ってこられますように(笑)お願いいたします。
お茶会へは何を持って行けばいいの?
最低、
- 「扇子」
- 「懐紙」
- 「菓子切り(楊枝)」
の三点があれば大丈夫です。
扇子
茶道で使う扇子は、流派によって長さや塗りなどが違いますので「これ」と一概には言えませんが、「結界」を意味するものですので、ご挨拶(お辞儀)をしたり、ものを拝見したりする時、自分と相手との間に横一文字に置いて使います。
席中(お茶会の最中)で広げて使うことはまずありませんし、これでパタパタあおぐことはありません、というか、やってはいけません(笑)。
懐紙
懐紙は、厳密に言うと、男性用と女性用で大きさが違います。
男性用は約10✕17cm、女性用は約9✕14cmです。
また、正式な茶事では「無地白色」を用いますが、大寄せの茶会ではあまり厳しいことを言われませんので、多少色や柄が入っていても大丈夫です。
ちなみに、懐紙の束の数え方は「1帖、2帖」と数えます。
菓子切り(楊枝)
菓子切りは、金属製、象牙、黒文字など材質は様々です。ステンレス製が多いですね。
菓子切りは、そのまま懐紙の束の中にはさみ込んでも良いですし、サヤと呼ばれる入れ物に入れて懐紙の束の中にはさんでもかまいません。
あると便利な袱紗挟みや数寄屋袋
扇子や懐紙や菓子切りをひとまとめにしていれておける「入れ物」があると便利ですね。「懐紙入れ(懐紙挟み)」「袱紗挟み(袱紗入れ)」という名前で売られています。またもう一回り大きく、懐紙入れも入る「数寄屋袋」というのもあります。
お茶会の大まかな流れと作法のポイント!
大寄せの茶会は、濃茶席と薄茶席、というように複数の部屋に分かれて行われるものもありますが、今回は「薄茶席」一席、と設定して見ていきます。
大寄せの茶会の流れ
- 受付・・・茶券を渡し、中へ通されます。
- 身支度・・・廊下や別室に荷物を預ける場所がしつらえてあるので席に持ち込むもの以外はここにあずけておきます。洋服の女性はここで白靴下を履いておきます。
- 寄り付き(待合)・・・会記(茶会記とも。本日の道具、茶、菓子などの名前一覧)、掛け軸、箱書き(サインが書かれてあったりする)などがあれば拝見し、終わったら空いているところに座って待つ。
- 席入り・・・本来はひとりひとり入り口に正座し、膝前に扇子を置いて一礼し、にじって入るのですが、20人も30人もやってたら大変なので、立ったまま歩いて入ることが多いです。
- 着座・・・畳の縁を踏まないように(昔は家紋を入れて畳縁を作ったので踏んだら失礼、とか畳の隙間から刀などで命を狙われるから、とか理由は諸説あります)中へ進み、前の人が座ったら、隣へ座ります。
- お菓子・・・1盆に3~5名分ずつ運ばれてきます。自分の分を取り分けます。
- お茶・・・お運びさんが運んでくるので、作法にのっとって飲みます。
- 拝見・・・「おしまいのご挨拶」が済み、お正客(一番初めに座った人)が立ったら立ち上がって「飾り残し」してある道具を拝見します。拝見するときは正座です。
- 退席・・・拝見が終わったら、立って退席します。
お菓子の作法
※全て、畳縁外で行います。
【干菓子の場合】
- 右隣の方が自分との間に菓子盆を置いたらお互いにお辞儀します(次礼)。
- 右隣の方が両手で菓子盆を自身の前に戻しお菓子を一つ取り上げると、再び自分との間に菓子盆を置きます。
- 今度は自分がお菓子盆を両手で取り上げ、自分と左隣の方の間に置きます。
- 自分と左隣の方がお互いにお辞儀します。
- 再び自分が両手で菓子盆を自分の前に置き直し、一礼(亭主に向かってお辞儀)します。
- 菓子盆と膝との間に、懐紙のわさ(束の折れ曲がっている方)を手前にしておきます。
- 左手を菓子盆に添えながら、右手で自分に近いお菓子を一つ取り上げます。
- お菓子が2種類以上ある場合は、1種1つずつ取り上げて懐紙に置いていきます。
- 取り終わったら、指についた粉を懐紙の右肩あたりで軽く拭きます。
- 両手で菓子盆を左隣の方との間に置きます。
- 左隣の方とお辞儀します(次礼)。
- 懐紙ごと取り上げ、お菓子をいただきます。
- 食べ終えたら、汚れた懐紙は下から一枚を上へ裏返すようにして取り去り、ポケットなどに忍ばせます。
【主菓子(生菓子)の場合】
- 右隣の方が自分との間に菓子鉢を置いたらお互いにお辞儀します(次礼)。
- 右隣の方が両手で菓子鉢を自身の前に戻しお菓子を一つ取り上げると、再び自分との間に菓子鉢を置きます。
- 今度は自分がお菓子鉢を両手で取り上げ、自分と左隣の方の間に置きます。
- 自分と左隣の方がお互いにお辞儀します。
- 再び自分が両手で菓子鉢を自分の前に置き直し、一礼(亭主に向かってお辞儀)します。
- 菓子鉢と膝との間に、懐紙のわさ(束の折れ曲がっている方)を手前にしておきます。
- 右手で上から箸の右三分の一辺りを持ち、左手に持たせ、右手に持ち返します。
- 菓子鉢に左手を添えながら、自分に一番近い場所(一番手前とか)のお菓子を自分の懐紙に取り上げて置きます。
- 箸の真ん中を左手に持たせるようにして預け、右手で上から持ち直して懐紙の右半分にもたせかけるように揃えて置きます。
- 左手で、懐紙の右上の肩の部分を折り返すようにして箸の先の部分を抑え、右手で箸を揃えて引き抜き汚れを取ります。
- 箸を菓子鉢の手前に揃えて乗せ、左隣の方との間に置きます。
- 左隣の方とお辞儀(次礼)します。
- 懐紙ごとお菓子を取り上げ、菓子切りや素手でお菓子を切り分けていただきます。
- ※菓子切りで切らずに刺して一口で食べるのは、おすすめしません。
- 食べ終えたら、汚れた懐紙は下から一枚を上へ裏返すようにして取り去り、ポケットなどに忍ばせます。
お茶を飲む作法
- お運びさんが自分の前、畳縁外にお抹茶入りの茶碗を持ってきます。
- お互いにお辞儀します。
- 右手で茶碗を軽く左手にあしらってから畳縁内、右隣の方との間に茶碗を置きます。
- 小さな声(あるいは無言)で「お相伴させていただきます。」とお辞儀します。
- 再び右手で茶碗を軽く左手にあしらってから畳縁内、今度は左隣の方との間に茶碗を置きます。
- 小さな声(あるいは無言)で「お先に頂戴いたします。」とお辞儀します。
- 再度右手で茶碗を軽く左手にあしらってから自分の膝前に置きます。
- 小さな声で「お点前頂戴いたします。」と亭主に向かってお辞儀します。
- 右手で茶碗を左手のひらに受け、軽く一礼(お茶への敬意)します。
- 時計回りに45度、45度、2回に分けて回し、正面をさけて口をつけます。
- 3口半くらいで飲み、最後は小さく「スッ!」と音を立てて吸い切ります。
- 口をつけた場所を右手親指と人差し指でぬぐい、その指は懐紙の端で清めます。
- 今度は反時計回りに45度、45度と2回に分けて回し、正面を元の位置に戻します。
- 右手で畳縁内、自分の膝前に茶碗を置きます。
【お茶碗の拝見】
膝前のお茶碗の全体像を見るため、両手のひらを茶碗の左右について見る。
両肘を膝につけ大切なお茶碗が胸の高さより高くならないように両手で持ちながら
- 「模様」
- 「口縁(口作り)」
- 「見込み(茶溜まり)」
- 「高台」
などを見ます。
拝見が終わったら、反時計回りに90度、90度、と2回回して正面を向こう側に向け、右手で畳縁外へ出しておきます。
お運びさんがお茶碗を回収に来ますので、お辞儀します。
※こちらの記事でお茶碗の見どころについて詳しく説明しています。 |
まとめ
今回は、お茶会は着物でなくても大丈夫?服装は?持ち物は何が必要?流れと作法は?題して、お茶会に洋服で参加する時の服装の注意点、持ち物についてと、大まかな流れと作法のポイントについてお話しました。
大寄せのお茶会は1席30~40分程度です。
もしチャンスがあれば、ぜひぜひ参加してみてくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!