先日、60代のマダムとランチをしている時のこと。
「お寿司屋さんで飲んでるお茶ってあれ、何茶なの?」
と聞かれました。
「絶対ではありませんが、ほとんどが粉茶ですね。」
「え?抹茶なの?」
今度は私の方が「え?」と驚く番でしたが、粉末のお茶=抹茶と直結してしまう彼女ほどではなくても、粉茶≠粉末茶≠抹茶という図式がハッキリ分かる方もあまりいらっしゃらないのでは…?
これら3つ、実は似て非なるもの、同じじゃないのです。これら3種類の粉末状のお茶の違いと、更にもう2種類の粉末状のお茶、インスタント緑茶と抹茶グリーンティーについてもご紹介します!
抹茶と粉茶と粉末茶は似て非なるもの
スーパーなどで「お茶」の棚を見回すと、実にたくさんの商品があり、皆同じようなパッケージなので、どれがどれかなんて、パッと見ただけでは分かりませんよね。
でも一番簡単に見分ける方法は、抹茶は「抹茶」と書かれています。
抹茶以外のパウダー状のお茶が粉末茶です。
粉茶はほとんど「粉茶」とは書かれていません。「ティーバッグ」状態で売られているものがほとんどだからです。またお寿司屋さんの「あがり」と呼ばれるお茶のほとんどがこの粉茶です。
写真は左から抹茶、粉茶、粉末茶、です。見た目は抹茶と粉末茶が似てますね。色は粉茶と粉末茶が似ています。
…でも、この3つは全然別ものなのです。
抹茶と粉茶と粉末茶の違いはこんなにくっきり!
抹茶の原料は「碾茶」です
抹茶の原料となる碾茶は、「覆い下栽培」で育てられたお茶の葉を手摘みし(ハサミで刈ることもあります)揉まないで乾燥させたもの、です。
この碾茶を「茶臼」でひいたものが茶道などで使われている抹茶です。「粉砕機」など機械でひかれたものはお菓子や食品などの「加工用抹茶」として扱われます。
粉茶は「出物」の一種です
次に粉茶ですが、お煎茶の製茶工程で揉んだり乾燥させたりしている時に、お茶の葉がすれて砕けたり、芽の部分が残ったりしたものがふるいにかけられたり、風で飛ばされたり(風力選別機)して分けられたものです。
「出物」と呼ばれ、最初から「粉」状で取り分けられたものです。
新茶の時期などは本当に美味しいものが多く、お寿司屋さんなどで出される「あがり」はにごりのある綺麗な緑色のこのお茶が多いです。
粉末茶は加工品です
粉末茶は、お煎茶として出来上がっているものをミルやグラインダーなどで「粉末状に加工」したものです。
好みのお煎茶を粉末状にして、そのまま溶かして飲めばゴミ(茶がら)も出ないし、粉末状になることにより、茶飯や茶そばなど、料理などにも使えて便利です。
さらなる仲間もご紹介します!
インスタント緑茶は抽出液を乾燥させたもの
たまに粉末茶をインスタント緑茶と呼ぶこともありますが、厳密には、抽出したお茶を濃縮し、それを乾燥、粉末化させたものがインスタント緑茶です。
旅館やホテルの備え付けでたまぁに見かける「スティック状」のお茶ですね。
抹茶グリーンティーは加工用抹茶に甘みをつけたもの
夏になるとよくお見かけする「甘~い抹茶」。
抹茶と書いてありますが、厳密にはほぼ抹茶ではありません。
原料はモガと呼ばれる加工用抹茶の粉砕原料です。
この加工用抹茶にグラニュー糖を混ぜたものが抹茶グリーンティーです。
みんな違って、みんないい
私は抹茶はもちろん、お茶全般が大好きで、毎日毎日あれこれと違う種類のお茶に手を出しているので
この3種はハッキリ違う、と「感覚」で理解していたつもりでしたが、今回たまたまマダムが勘違いしてくださったので(失礼)、改めて「違い」について考えてみました。
簡単にまとめると…
- 抹茶:覆い下栽培の碾茶を茶臼でひいたもの
- 粉茶:煎茶の製造過程で出るいわゆる「出物」
- 粉末茶:煎茶を粉砕機などでくだいたもの
といったところでしょうか。…これを機会に、手にとったその粉末状のお茶は「抹茶?」「粉茶?」「粉末茶?」と関心を持っていただけたら幸いです。
最後までお読みいただき、有難うございました。