お茶会で出される和菓子は大きく分けて2種類です。
主菓子と呼ばれる上生菓子と干菓子と呼ばれるその字のごとく乾いた状態の和菓子です。
茶道では正式には主菓子は濃茶に、干菓子は薄茶に出されます。
お茶席では、深鉢や食籠と呼ばれる蓋付きの菓子器にまとめて和菓子が盛りつけられて出されることがあります。
それを客は順番にひとつずつ取り上げて食べるのですが、たまに
「この並び、私はどれを取れば良いんだろう?」
「この和菓子、キレイだけど食べづらそう…。」
「この大きさ、手で割っても良いかなぁ…。」
などと悩むことがあります。
実は和菓子の食べ方に、絶対、という決まりはありません。
ただ、こんな時、基本的な作法を知っておけば、慌てることがありません。
今回は一般的なマナーとして、お茶会はもちろん訪問先で、出された和菓子を出来るだけ見苦しくなくいただく方法をご紹介したいと思います。
和菓子の食べ方の作法【食籠(蓋付きの入れ物)の扱い方】
自分の前に食籠がきたら、まず黒文字(お箸)をおろして蓋を開けます。
懐紙を手前に置いて黒文字をあずけます
黒文字(お箸)は揃えて右手で上から取り、懐紙の右肩にの先をあずけます。黒文字を乗せたまま蓋はあけません。
蓋を開けます
食籠の蓋は、たまに裏に文字や花押(サイン)があったり、細工が施してあったりすることもあるので、「拝見」します。
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※最後に拝見した方はご自分の縁外左前に伏せた状態で蓋を置いておきます。
手前から時計回り(手前右から)取り上げます
実際のお茶席では同じお菓子が並んでいますが(笑)、取り上げる順番を分かり易く説明するために全く違うお菓子を並べた写真を用意しました。
黒文字はまず上から揃えて右手で取り、左手に乗せ、右手に持ち替えて使います。
自分にとって右手前から右回り(時計回り)に取っていくので、この場合、
- 干し柿(羊羹)
- 秋桜(練り切り)
- 柿(求肥餡包み)
- 栗(練り切り)
- 小芋(薯蕷饅頭)
の順になります。
※和菓子を取り上げた後の黒文字(お箸)は懐紙の右肩を一枚めくって折返し、押さえるようにして拭き清めます。
黒文字を食籠に乗せ、次客(左隣)にまわします
自分の分を取り上げたら、清めた黒文字を食籠の身に乗せ、両手で下からすくい上げるようにして持ち、縁外自分と左隣との間に食籠をおき、礼(次礼)をして送ります。
次は、食べ方の作法です!
和菓子の食べ方の作法【手で直接いただくもの】編
- 干菓子
- 薯蕷饅頭
- 最中
などは黒文字を使わず、直接手で取っていただきます。
2種類以上の時はそれぞれ取り上げても大丈夫です
干菓子。
2種類以上の時はそれぞれをひとつずつ取り上げても大丈夫です。
取り上げる順番は、奥の種類のものから取るようにいたします。
※干菓子は薄茶の「おかわり」が出る場合があるので、必ず多めに準備されています。
お饅頭類は、手で割っていただきます
薯蕷饅頭。
薯蕷饅頭は、手で割っていただきます。2つ割って、まだ大きいときはさらに半分にし、一口大にしてからいただきます。
最中は懐紙の中で割っていただきます
最中。
最中は懐紙の中で割っていただきます。
懐紙を折り曲げ、最中を中に包み込むようにして割るとクズを外にもらすことなく割っていただくことができます。
和菓子の食べ方の作法【黒文字をつかうもの】編
- 練り切り
- 羊羹
- 求肥の餡包
など、直接手に触れると手が汚れるものは黒文字を使っていただきます。
羊羹。
一口大に切っていただきます
特に水分が多く、懐紙に染み出てしまうような羊羹などの場合、折った懐紙を重ねるとか、硫酸紙を使っても良いと思います。
和菓子の食べ方の作法【ひと手間必要な物】編
串団子などは、そのまま直接口にもっていきません。
串団子。
串団子は黒文字ではずしてからいただきます
黒文字がない時には手でひとつずつはずしながらいただいてもかまいません。
まとめ
今回は、和菓子の食べ方って作法はあるの?取り上げる順番は時計回り!手で直接食べて良いものは?と題して、お茶会での食籠の扱いや、黒文字を使う和菓子、手で食べて良い和菓子、食べるのに少し手間のかかる和菓子、それぞれの食べ方の作法をご紹介しました。
訪問先で和菓子を出されたとき、ぜひ参考にされてみてくださいね。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!!